誰もが安心して住み続けられるまちづくり

「おいしい」をだれかと一緒に ふれあい粋・活サロン「汐入地域食堂」

2019/06/19 東京ほくと

会場は汐入防災センター
南千住駅からバスで数分、汐入防災センターに到着。ここが汐入の地域食堂の会場です。
汐入診療所の鈴木良恵看護師長は、あの3・11の東日本大震災の後、何か地域でできることはないかと考えていました。独り暮らしで高齢の男性はどうしているのか、地域から孤立して困っている人がきっといるはず、その人たちのささえになることはなにかと。

おとな食堂の立ち上げ
汐入地区は、以前は木造の家がたくさんあり、お風呂のない家も多く、銭湯に通う家族が大半でした。白髭西地区の再開発事業が行われ、高層ビルが立ち並ぶ街に様変わりし、向こう三軒両隣的な雰囲気がだんだん薄れてきたのです。女性は地域と関わることが多いですが、男性はなかなか難しいのではないでしょうか。
特に一人暮らしの高齢男性の場合、コンビニを利用することも多く栄養のバランスが偏り、節約のためにつくり置きをしても同じものばかりになって飽きてしまう、食事の回数や時間も不規則になりがちです。孤食は味気ないなどで、食欲、嚥下力の低下で栄養不良に陥って体力が落ちていき易くもなります。
そこで、男性のための食事を提供する食堂を立ち上げたいと考えました。すぐに社会福祉協議会に相談に赴いて、2018年10月開所がトントン拍子に具体化したのでした。

基本メニューはカレー
メニューは、基本的にはカレー、味噌汁、おかずの内容。食材は事前にフードバンクをチェックして利用します。生ものはどうしても購入することになります。毎回24~30品目の食材が入っているとか。ベテランのボランティアさんが今使える食材でメニューを考え、腕を奮ってくれます。
ただし、会場ではガスを使えないので、診療所や他の集会室でつくり運んでこなければなりません。取材に伺った4月のメニューはカレー、みそ汁(どちらも具だくさん)小松菜と鮭の缶づめのあえものともう一品、デザートのプリンでした。会費は300円、この日は47人の参加でした。
食事が終わると鈴木看護師長さんのお話、「今日の献立に使われている食材は何でしょうか」から始まり、保健指導、連絡事項、最後にちょっと医療生協の宣伝などが終わると、自由にマイクがまわり、社協の方の挨拶、認知症予防の体操と続き、この日の食事会が終わります。お話を続けたい人は残っても良いそうです。

一緒に楽しさを味わう喜び
診療所で勧められて初めて来た方、友人を誘って参加した男性4人グループ、開設時から参加している方など、皆さんとてもリラックスしています。最初に足を踏み入れたときは緊張したかもしれませんが、温かくて美味しい食事を大勢の人と一緒に食べる楽しさを味わうと、きっと次回が待ち遠しくなるでしょう。
2022年あたりから団塊の世代が後期高齢者になり始め、このような地域食堂の需要が増えるかもしれません。災害が来たときも、食を通じて知り合った仲間がいることはさぞ心強いことでしょう。

(編集委員・石原妙子)