誰もが安心して住み続けられるまちづくり

いよいよ総選挙 医療と介護の制度改悪をくいとめよう

2017/10/11 東京ほくと

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国民皆保険制度が解体の危機
 安倍政権によって社会保障制度を土台から変質させる改悪が次々と具体化されようとしています。  社会保障を、自助・互助・共助という枠に入れ互助会化。一方で、「在宅受け皿」として介護保険に移行させる(通称=川上から川下への一体改革)、その中で要介護1・2クラスを、さらに介護保険から外していく流れです。これが「医療費適正化」の名のもとに行われ、患者の受療権は抑制され、医療機関も病床減らしなどを余儀なくさせられます。

外来患者が減っている背景
 開業医や診療所を中心に行われた受診抑制の調査からは、外来患者減が広がっていることがわかります。
 受診抑制の大きな原因に、払えない高すぎる国民健康保険料(以下国保料)の問題があります。国保料は医療費抑制を進める政府の下、今年は平均8千円の値上げがありました。国保の広域化(都道府県化)で来年は未曾有の値上げが待っています。
 全国1800の病院診療所などでつくる全日本民医連が調査した「経済的事由による手遅れ死亡事例」からは、悲惨な事例が報告されています(死亡事例は58件)。「半年前から咳、不調を自覚していたが、保険料が払えず、医療費の支払いが怖くて受診せず。手足に麻痺が出るほど悪化してから受診、末期がんで手遅れ(60代男性、非正規雇用)」「保険料が払えず、国保証が留め置かれていた。所持金100円、友人が差し入れた弁当を嘔吐、入院後19日目に末期がんで死亡(60代男性無職)」

聞こえだけはよい地域共生の社会づくり
 政府は、地域で起きている現実に対し、かつては地域や家族で対応してきたといいますが、まったく時代錯誤です。高齢化社会によってもたらされた介護の苦労、増える認知症、高齢者の孤立などは今までに私たちが経験していないレベルのものです。
 高齢の妻の精神疾患、同居する息子からの家庭内暴力、孤独を訴える認知症の高齢者など、地域住民が抱える様々な問題の背景に、介護の苦労、孤独・孤立、貧困、暴力、精神科的な問題が連なっています(北区なんでも相談会の事例より)。
 地域で問題になっているのはこうした現実です。「さあみなさん、総活躍してください」というだけでは何も解決しません。

介護ひとことカードに寄せられた声
 地域で集められた〝介護一言カード〟(北区社保協2015年実施)からは介護する側、される側の苦労が見えてきます。「病院から追い出され、行き場のない方が老健に入るが、長くはいられない、終の棲家を見つけていくのが大変」「訪問看護は週に2回で月額8千円、往診も月に2回で月額1万円。歩けないのに頑張って受診に行こうと考えている」「母親が入所している介護施設が遠い」政府の言う〝一体改革〟は私たちに我慢ばかりを強いている実態です。

強行採決の政治
 2018年8月より、一定の所得を超える方の介護保険が3割負担となります。この法案は森友問題に触れたことを口実に、論議も不十分なまま一方的に質疑を打ち切り、自民、公明と維新の多数で3割負担の強行採決が行われました。私たちの身近に関係する法案はこのような方法で決められています。
 私たち東京ほくとをはじめ、地域生協や、住民やボランティアが力を合わせて様々なネットワークを充実させてきました。丸投げされる〝まちづくり〟ではなく、私たちの運動を「いっしょにがんばりましょう」と応援してくれる政治を私たちは望んでいます。誰もが安心して、いつでも、どこでも、必要な時にかかれる医療・介護制度にすることが、私たちの願いです。願いを実現するときは「今」です。

(組織部・森松伸治)