誰もが安心して住み続けられるまちづくり

地域の支えを胸に、今日も奮闘(診療所群)

2020/12/09 東京ほくと
 (生協浮間診療所・生協北診療所・荒川生協診療所・汐入診療所・江北生協診療所・鹿浜診療所・北足立生協診療所)
◆診療所の限られたスペース、空間・時間で分けて診療


蓋を足で開けられるゴミ箱を新調(生協浮間診療所)


蓋を足で開けられるゴミ箱を新調(生協浮間診療所)[/caption]1月に日本でも感染者が報告され、徐々に感染が広がる中で「コロナウイルス感染症は特別な症状はなく、初期の症状は風邪症状と同じらしい」との報告がありました。
風邪症状の患者さんの中にコロナウイルス感染者がいる可能性があるため、一般の患者さんと分けて診察する必要があり、その対策を各診療所で行いました。診療所によっては、入口から風邪症状がある患者さんの動線を分けて空間的に分離、または診察時間を分けて時間的な分離を行いました。

◆感染対策に要の物品が不足、法人委員会で情報集中、補充
ウイルスの性質から、アルコールなどの消毒が有効で、マスクはもちろんゴーグルやフェイスシールド、ガウンなどを装着する必要があるとわかり、これまで以上に感染予防策が必要になりました。世界規模の医療機関で一斉に必要となったため、まったく入手できない事態になりました。医療機関で必要な物品が入手できないことは初めてで、歴史的にも特殊な状況になっていると改めて感じました。
各診療所で、感染予防対策に追われました。物品が少なく対策を取ろうにも物がなく手作りで何とか乗り越えてきました。 感染対策に法人全体で取り組めるよう委員会を立ち上げ、最新情報の共有、物品の確保、足りないところに補充をしました。各診療所独自で情報収集、物品の確保は難しかったので、法人の委員会が機能したのは良かったです。それでも不足したフェイスシールドやガウンを組合員さんが作成してくれたおかげで、乗り越えられました。

クリーンエリアと一般エリアを一目でわかるように分けた
(北足立生協診療所)

◆医師主導で感染拡大時に備えたシミュレーション
情報が錯(さく)綜(そう)する中で生協浮間診療所では、医師がホワイトボードに最新情報をまとめ、現状と今後起こるかもしれないこと、その対応案を検討しました。その時に同席できないスタッフにもホワイトボードに検討事項を書き残すことで、何を検討したかわかるようにしました。
たとえば感染者が多くなってきた3月には、地域の感染者が多くなった時に地域の拠点病院へ受診希望が殺到し病院の負担が多くなると予測できたので、「軽症の方は診療所で診察しよう」と、風邪外来を急いで開始できるようにしました。その後も医師や看護師、事務職が自宅待機になった場合に診療所の外来や往診をどうするか、診療体制のシミュレーションを段階ごとに設定しました。
また、各診療所で留意したと同様に、体調が少しでも悪いときは遠慮せずに積極的に休んでもらうようにしました。そのため他の診療所から支援をもらって体制を補い合いました。

間隔をあけて座るようにした待合室
(鹿浜診療所)

◆各診療所が検査実施を判断、相互支援で困難乗りきる
新型コロナに関わる検査をするかしないかも各診療所で検討しました。当初は行政で指定された医療機関でPCR検査を受けられるので紹介することが多かったのですが、最近は診療所でもできる検査が出てきました。検査の種類や特徴をまとめた資料を参考に各診療所スタッフで話し合って、その診療所に適した検査を選ぶことにしています。
また、診療所群では定期的にメールで情報共有をして、今後感染拡大した時の相互支援の方法を考えるなど、相談し合っています。困難な状況ではあってもみんなで取り組んでいることを共有しています。

◆組合員との結束が職員の力に、身近な医療機関を活用して
医療機関でもこんな混乱した状況は初めてでしたが、組合員さんのガウンやフェイスシールド作成など、みんなで結束することで乗り越えられると実感しました。組合員活動に職員が参加する機会は減っていますが、支えられている実感があります。
診療所は相談しやすい身近な医療機関としての役割があると思っています。診療所だけで解決できないことはありますが、適切な相談窓口を紹介するなど対応します。忙しそうに見えるかもしれませんが遠慮なくご相談ください。


(診療所統括師長・小串路恵)