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歴史から学ぶ人権擁護

2022/11/09 東京ほくと

歴史から学ぶ人権擁護
秋の社会保障学習会
「社会保障を充実させる責任は誰にあるの」


芝田英昭立教大教授

 9月28日、立教大学教授で水彩画家の芝田英昭さんを講師にお迎えし、北区社会保障推進協議会主催の学習会が開催されました。数か所の会場とオンラインで、40人が参加しました。
 「くらしと社会保障」をテーマに、人間の尊厳・人権・能力・協同について話されました。講師の息女が悪性脳腫瘍のため22歳で亡くなった経験を語り、一気に身近な問題として考えさせられました。

 重い障害を持って生まれ、またさまざまな傷病によって、自らの意思で行動できなくなる場合もあります。この状態では、人間特有の複雑な思考能力を発揮できないように見受けられますが、人間としての尊厳は否定されるのでしょうか。
 19世紀末以降に優生学が浸透し、犯罪者や精神障害者への断種がアメリカで行われる。それがナチスの断種法に大きな影響を与えて劣等民族などの虐殺へとエスカレートした、とは衝撃的でした。第二次世界大戦後も、日本の旧優生保護法、スウェーデン・ノルウェーなど高度な福祉国家における優生政策などに脈々と受け継がれたそうです。
 努力は、持てる能力を十分に発揮できて、初めて評価されるものです。能力を高めて発揮できるかは、人間関係の豊富さや経済的支援の投入量の多(た)寡(か)によって決まります。つまり、人間は他者との関わりの中で協力・協同しながら、能力が開花していきます。
 生命・生活を守り、健康を増進させる医療・福祉を、営利法人に任せて良いのでしょうか。社会保障運動の重要なポジションにいると自覚してほしい、と協同組合へのメッセージをもらいました。さまざまな問題から目をそらさずに、つながりを大切にしていきます。 (理事会社会保障平和委員長・小川早苗)