誰もが安心して住み続けられるまちづくり

医療と介護の現場 住民間の「互助」がなりたたない

2017/08/16 東京ほくと

 「何だよあんた、遅いじゃないの」「来てくれないと困るんだよ」。Aさんが入院している病院は車で30分はかかります。肺の疾患で酸素をしながら通院していましたが、心臓に負担がかかり入院しました。経済的に厳しい状況でしたが、「福祉のお世話にはなりたくない。今までも自分でやってきた」と自負しています。家族はなく周りの友人知人も高齢化し病院に何度も行くことは出来ません。
 入院が15日を過ぎると病室のロッカーに支払いの請求書が張られ、さらに2枚目が貼られました。月に10万円で生活しているAさんは気が気ではありません。手元にお金はなく、冷たい水も購入できず、携帯電話もないので誰にも連絡できません。制度が都合よく解釈され、ケアマネは何をやっているのか。と苛立ちを見せていました。もちろん、私に対しても同様でした。
 足立区では都営住宅の建て替えのラッシュで住民間のつながりも希薄となったのを感じます。「互助」を期待するのがさらに難しくなり、ひとり暮らしや高齢者のみの世帯が入院をすると今の制度のサービスでは賄いきれないため民間の「自助」によるサービス購入しかなくなります。しかし10割負担は大きくそのしわ寄せをケアマネジャーが対応しているケースを多く見ます。ゴミ出し、家具移動に大掃除、通院 退院時の介助など。少子高齢化や財政状況から大幅な拡充は難しく社会保障の抑制が予測されますが、一部に負担が偏らないように出来ないものか悩みます。(訪問看護ステーションたんぽぽ所長・橋本明子)