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発熱伴うさまざまな感染症~子どもの状態を見て対応を~

2024/03/20 東京ほくと

王子生協病院 小児科から
王子生協病院 小児科医師 平山美香

 昨年5月、新型コロナウイルスがインフルエンザと同じ扱いになり、3年あまり続く国のコロナ対策は大きな節目を迎えました。マスク着用や手指衛生、換気などの徹底した感染予防策が緩和されると同時に、集団免疫が低下した子どもの間で、さまざまな感染症が流行し始めました。
 昨年はアデノウイルス、溶連菌などの感染症も流行しました。私が医師になってから、こんなに多くのアデノウイルス感染症の子どもを診たのは初めてです。寒い時期に流行していたRSウイルスやインフルエンザが夏に流行するなど、感染症の流行パターンも変わってきました。コロナ禍前と比べ、季節性が無くなってきたように感じます。
 コロナ禍の時期に設けた風邪外来ですが、多くの発熱した子どもが受診します。2月下旬現在は、インフルエンザB型が最も流行しています。
 抗インフルエンザ薬は、ウイルスが増殖するまでの発症後48時間以内に使用しなければ効果が期待できません。ただ発熱直後だと、インフルエンザの迅速検査をしても陰性になってしまいます。発症後12時間以上たってから検査をした方が良いようです。
 子どもの発熱の目安は37.5℃以上です。「夜、急に熱が出た」という場合も慌てずに、お子さんの全身状態を観察して下さい。
 食欲があり機嫌も良い、眠れている、ほかに目立った症状がない場合は緊急性がなく、翌朝の受診で大丈夫な場合がほとんどです。逆に、水分を受けつけず尿が出ない、ぐったりしている、機嫌が悪く泣き止まない、発熱以外にひどい症状がある場合などは早めに受診しましょう。
 また生後3か月未満の乳児に38℃以上の熱がある場合も、化膿性髄膜炎などの重篤な細菌感染症が原因である場合があるので、すぐ病院に連れて行きましょう。
 自宅での対処法ですが、水分の補給はこまめに行いましょう。熱が上がりきると赤い顔をして暑そうにしはじめるので、厚着は避けて冷やしてあげると気持ちが良いでしょう。
 たとえ高熱であっても、お子さんが元気そうにしていれば解熱剤で無理に熱を下げる必要はありません。髄膜炎、脳炎や脳症などでない限り、基本的に風邪などの病気による熱が脳にダメージを与えることもありません。
 ただし、38.5度以上の高熱があってつらそうにしているのなら、解熱剤で楽にしてあげましょう。インフルエンザに伴う発熱には使用を避けたい解熱剤もあります。発熱やそれ以外でも気になる症状がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。