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難民が認定されにくい日本

2022/10/26 東京ほくと

難民が認定されにくい日本 ~異質性を排除せず包容へ~

山本光一氏

日本基督教団牧師 山本 光一

 日本に住む在日外国人は、昨年6月時点で2,823,000人ほど。在留外国人数が最も多いのは、東京都の541,807人。国別では中国、ベトナム、韓国、フィリピン、ブラジル、ネパールの順です。

難民認定

 出入国管理及び難民認定法(以下、入管法)によれば、日本に「難民」はほとんど存在しません。所轄官庁である法務省が、難民と認定しないからです。
 2019年に日本で難民申請を行った外国人は合計10,375人で、審査の結果、難民として認定されたのは43人でした。認定率は0.29%です。他国の認定率はアメリカ22.7%、イギリス30.8%、ドイツ16.1%、カナダ51.8%。日本の難民認定率はおそろしく低いのです。
 「難民」とは、国連で1951年に採択された「難民の地位に関する条約」、1967年に採択された「難民の地位に関する議定書」によれば、①天災・戦禍などによって生活が困窮し、住んでいた土地を離れ安全な場所へ逃れて来た人々、②人種・宗教・政治的意見などを理由に迫害を受けるおそれがあるために国を出た人と解されます。この理解によれば、日本には難民は1万人もいるのです。

仮放免

 小学生のときからの知り合いである日本語教室の生徒、フィリピン人A君。今年3月末、在留許可延長を求めるA君の家庭全員に「仮放免」の措置がされました。
 仮放免は在留許可ではありません。「本当は収容施設に入らなければならないのだけど(収容施設から)放免してあげるからね」という措置です。入管庁の統計によると、収容令書・退去強制令書による仮放免者は一昨年12月時点で、全国で5,781人います。
 「もう国に帰ろうか…」と思わせる仮放免措置、重要な点だけ挙げてみます。

①就労できない(A君は来春高校を卒業し、働くことを楽しみにしていたが)
②住民票を取得できない(就学案内は住民票を根拠に発行されるが、来春就学年齢となったA君の妹に案内は来なかった。さまざまな申請書を市役所に提出して、しばらく就学できることにはなった)
③健康保険証を取得できない(A君の弟は1歳。病気になったらどうしたらいいのでしょう。A君は「歯が痛いけど、友達にもらった薬で我慢している」と笑う)
④旅行などで居住地を離れるときは「一時旅行許可申請書」を提出しなければならない(学校の地区大会のため県外に出る場合も、入管に出頭し申請書を提出しなければならなかった)
⑤定期的に出入国管理局に出頭しなければならない(A君は「国に帰っても勉強はできるだろう。どうしてわざわざ日本で勉強したいのだ」と毎回説教される)

 A君の家族は日本で生活をしたいのです。「母国よりも日本で生活をしたい」と願う家族をなぜ追い返す必要があるのでしょうか。
 A君家族への措置は入管法によるものです。日本の入管法を改善することができるのは、私たち日本人だけです。「私たちの国が、外国人をどんどんと受け入れ、異質性を排除するのではなく、それを楽しんで益と変えることになれば良いなあ」と願っています。