国際連帯で平和国家へ 侵略への抵抗に支援を
国際連帯で平和国家へ
侵略への抵抗に支援を
ジャーナリスト 布施 祐仁
一体いつになったら、この戦争は終わるのだろうか。終戦の時期を予測できる者はいないだろうが、唯一はっきりしているのは、ロシアが侵略を止めれば戦争はただちに終わるということだ。
いまロシアがやっていることは、1990年にイラクのサダム・フセイン政権が行った暴挙と同じである。イラクは隣国クウェートに侵攻し、全土を制圧・占領すると、一方的にイラクへの併合を決定した。ロシアも9月末、ウクライナ東・南部4州の併合を一方的に決定した。
イラクがクウェートを侵攻したときには、国連安全保障理事会がイラク軍の即時無条件撤退を要求する決議を採択し、まず経済制裁を課した。それでもイラクが侵略を止めなかったため、最終的には多国籍軍が編成され、軍事力によって侵略を鎮圧した。国連憲章違反の侵略が発生した場合、侵略国以外のすべての国連加盟国が侵略を止めさせるために協力するという「集団安全保障」の機能が発動されたのである。
一方、今回のロシアによるウクライナ侵攻では、国連加盟国の7割超が侵略を非難しているにもかかわらず、安保理常任理事国であるロシアの拒否権行使で国連の集団安全保障は機能不全に陥っている。
国連の集団安全保障が機能しない以上、各国が個別に侵略に抵抗するウクライナを支援するほかない。ウクライナは国際社会に武器の提供を求めているが、これまで紛争当事国への武器移転を行わない方針を堅持してきた日本は、財政支援や人道支援などを積極的に行っていくべきだと考える。
「領土よりも人命の方が大事」「一刻も早く停戦してほしい」という声も聞く。気持ちは理解するが、それを判断するのはウクライナ国民である。私たちはウクライナ国民の意思を尊重し、ウクライナ国民が侵略への抵抗を続けている限り、最大限の支援を行うべきである。一刻も早い停戦のために私たちにできるのは、ロシアに対して「領土的野心を捨てろ」と言い続けることである。
やっかいなことに、「大国」は一度戦争を始めると、どんなに形勢が悪くてもなかなか止めない。面子を重んじるからだ。今回のロシアだけでなく、ベトナム戦争での米国しかり、かつての大日本帝国しかりである。
「大国」は自分たちを「特別な存在」と考え、周辺の中小国を見下して勢力下に置こうとする。今回のウクライナ侵略は、まさにロシアの大国主義が最大の要因だと私はみている。
核兵器廃絶運動が示しているように、このやっかいな大国主義と対峙できるのは、世界の市民社会と世界の圧倒的多数を占める中小国の政府との連帯だけである。日本も大国主義(と超大国追随主義)を捨て、この連帯の輪に加わってこそ、真の「平和国家」への道が開ける。
ウクライナ人道支援募金にご協力を
東京ほくと医療生協が加盟する「全日本民主医療機関連合会」では、ウクライナ市民へ食料・水。医療品などの人道支援募金にとりくんでいます。この募金は、ウクライナ医療支援で活動中のピースウィンズジャパン、国連児童募金(ユニセフ)、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)へ届け、ウクライナの人々に直接届く支援に充てます。
ご協力くださる方は、お近くの支部の役員や組織部職員までご連絡ください。
(組織部:3913―9100)