誰もが安心して住み続けられるまちづくり

「こころ」と身体に栄養をとどける  荒川・ななほしこども食堂

2017/08/09 荒川生協診療

大勢で食べる楽しさ満ちあふれ

 「こども食堂」は、地域の人たちが子どもに無料や安価で食事を提供する、民間発の取り組みで、貧困家庭や孤食のこどもに食事を提供し、安心して過ごせる場所として始まりました。「こども食堂」という名前が使われ始めたのは2012年。最近は、地域のすべての子どもや親、地域の大人など、対象を限定しない食堂が増えています。

●荒川生協診療所 職員中心に開設

 4月より、荒川生協診療所職員中心に「こども食堂」が開かれています。会場は荒川生協診療所3階通所リハビリ室。第2木曜日の午後3時を過ぎると3階の厨房からいい臭いが漂います。7月13日、お邪魔したこの日のメニューは、煮込みハンバーグを主菜に7品で、お子さんにはゼリーもというボリュームのあるものでした。ふわふわのハンバーグは豆腐入り。調理やあと片付けをするボランティアの方は、診療所の患者さんやポスターを見て参加してきた方などです。
 こども食堂を始めるきっかけは荒川生協診療所を知ってもらいたいという気持ちからでした。始めるにあたって最初から荒川区の社会福祉協議会にアドバイスをいただいています。こどもや若い人たちにも来てもらい、診療所では小児科もあり、荒川区の休日当番でも診療していることを知って欲しかったと、立ち上げに関わった三浦さんは言います。

●明日の活力も生まれ

 こどもたちがデザートのゼリーの盛り付けを手伝い、みんなで「いただきます」の挨拶でいよいよ食事が始まります。職員、ボランティアも一緒になって、大勢で食べる楽しさが満ちあふれていました。
 保育園帰り、たまたま誘われて初めて参加した親子、この日は車椅子の方もいらしていました。食事が終わった小さな女の子がお母さんに促されて椅子をきちんと並べている姿が印象的でした。忙しい生活で手の込んだ食事ができないときに、ゆっくりとこども食堂で美味しいものを食べると身体だけではなく、気持ちの栄養も摂れ、また明日の活力も生まれます。

●広がる出会いの輪

 所長の泉水信一郎医師はいつもカメラマン、「こどもが好きなんです、小児科をやりたかったんですよ」と。「身障の方も誘ってるんです。地域にはいろんな人がいて成り立っていることを知らせたい。また認知症カフェや無料塾なども開きたい」と話されていました。
 職員の方たちはこども食堂の立ち上げから今に至るまで大変なご苦労だったと思いますが、やればこどもたちもボランティアさんも来てくれるとの自信を持っています。他の地域でもぜひ開いて欲しいと話されました。  食材の調達はフードバンクや寄付、職員が利用している農園の野菜などを提供してもらっています。また、荒川区の事業主の方から社協に寄せられた寄付金なども活用させていただきました。「こども食堂」が動き出すといろんな手助けが入ります。いろんな出会いがあります。
 毎月第2木曜日。午後5時~7時。大人300円、こども100円です。

 (編集委員・石原妙子)