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【病気の話】ノロウイルスに注意!

2017/11/08 東京ほくと

王子生協病院副総看護師長
感染対策委員会
感染管理認定看護師
深山 晴海(はるみ)

 

 ノロウイルスによる感染性胃腸炎は、特に冬期に流行します。牡蠣などの2枚貝の生食による食中毒が有名ですが、保育園(所)、幼稚園、小学校などで発生した集団感染の大半は、誰かがまずノロウイルスに感染し、施設内でヒトからヒトへ感染して拡がっています。

 

症状・感染経路
 ノロウイルスに感染すると、1~2日の潜伏期間(感染から発病までの期間)の後に、主に下痢、おう吐、はき気、腹痛の症状があらわれます。軽度の発熱を伴うこともあります。小児ではおう吐が多く、おう吐・下痢は一日数回からひどい時には10回以上の時もあります。
 ノロウイルスは特効薬がありませんので、症状が続く間は脱水にならないように水分を補給することが大切です。症状は平均1~2日で消失しますが、子どもや高齢の方は重症化したり、まれにおう吐した物をのどに詰めて窒息することがありますのでよく観察することが大切です。
 感染経路は、経口感染(ウイルスで汚染された食品や加熱不十分な調理での飲食)と接触感染(ノロウイルス感染者の吐物や便から人の手を介して)があります。また、吐物や便から舞い上がるエアロゾルを吸入することによって感染する場合があります。

 

予防

①手洗い
 最も重要で、効果的な予防方法は「流水・石けんによる手洗い」です。帰宅時、調理を行う前、食事の前、トイレの後、おう吐物の処理をした後、オムツ交換など排泄の介助を行った後は、流水と石けんでしっかり手を洗い、清潔なタオルまたはペーパータオルで拭きます。

②調理と配膳について
 ノロウイルスは症状が消失した後も1週間ほど(長い時は1ヵ月程度)は便中に排泄されます。調理の前と後、配ぜん前にも流水・石けんによる手洗いをしっかりと行う。牡蠣など二枚貝の生食はさけ、中まで十分に加熱調理する。まな板や包丁などの調理器具は他の食材への二次汚染防止のため専用にするか、使用の都度洗浄、熱湯消毒または家庭用の塩素系漂白剤で消毒する。

③おう吐物・下痢便の処理
 おう吐物や下痢便の処理をする時は、処理の際に吸い込むと感染してしまうおそれがあるので、処理する人以外の人は遠ざけ、早く処理します。
 処理時は、マスク・手袋を着用し、雑巾・タオル等でおう吐物・下痢便をしっかりとふき取り、ビニール袋に入れて密封し捨てます。その後うすめた塩素系消毒剤(家庭用漂白剤では200倍程度)でおう吐物や下痢便のあった場所を中心に広めに消毒してください。おう吐物や下痢便で汚れた衣類は、マスクと手袋をしバケツなどでまず水洗いし、更に塩素系消毒剤で消毒します。塩素系漂白剤の使用にあたっては「使用上の注意」をよく読んでから使用してください。消毒剤の希釈の際も素手で行わずに手袋を用いましょう。