誰もが安心して住み続けられるまちづくり

コロナに負けるな!
療養を多方面から支えた ~第5波を振り返って~

2021/12/08 東京ほくと
7月末から夏の間、コロナの第5波が東京ほくとにも訪れていました。全国、東京の陽性者数増と比例して、王子生協病院の発熱感染外来患者数、あわせて保健所から診察とPCR検査を依頼される濃厚接触者数が30~40人/日と多く、陽性率も24%と高く推移していました(8月データ)。

家庭内など日常生活の中で感染
第4波までは、旅行や食事会など感染リスクの高い行動をしている方の感染が主でしたが、第5波では人の多いところに行かない普通に生活している方々、乳幼児も含めその家族が次々と感染していきました。乳幼児は近くで見守りが必要なため、自宅内で隔離はできず、両親・兄弟と感染が広がります。小さい子がいなくても個室をつくるのが部屋の間取り上難しく、順に感染する家庭も続きました。
「ホームページを見た」とネットカフェで暮らす方が他区から受診に来ました。帰る家もありませんが、コロナ陽性でも療養先はすぐ見つからず帰宅されました。必要な方がホテル療養などスムーズに決まれば、家庭内などの感染を防げたのではないかと思います。

重症者優先の保健所 陽性者の不安に対応
同じく7月末、陽性者が増えたため保健所の体制は「入院が必要な中重症患者を優先に対応する」と連絡がきました。それまでは翌日までに保健所から陽性者に連絡が入り、療養上の注意点、健康観察の方法、濃厚接触者がいるかの聞き取りが行われていました。代わりに、当院から検査結果とともにそういった事情も伝えました。
陽性者になっても保健所からしばらく連絡がなく、コロナ相談センターも電話がつながりにくいため、当院に相談が寄せられました。処方や時間を分けて受診の相談をしたり、SpO2(酸素飽和度)の低い中等症の患者、重症化リスクのある患者には入院が決まるまで電話で状態を確認しました。
「高熱が続き食べられない」「息苦しさも出てくる中、とても不安でどうすればよいか」との声をよく聞きました。日中でさえ入院先が決まらない状況で、自宅療養している方が夜間呼吸苦で救急車を呼んでもどこも満床で、自宅に帰らざるを得ない状況もありました。

救急搬入依頼は3倍 大半は発熱と陽性者
当院の8月救急搬入依頼は通常の3倍、うち2/3は発熱・陽性者の依頼でした。特に夜間は、コロナ病棟での受け入れが難しく、いのちの選別をしているようでスタッフも心苦しく感じていました。報道で聞くように東京の医療が異常な状態でした。
普段の医療活動に加え、第5波の対応、コロナワクチン…多職種で頑張りぬいた夏でした。第6波が来ないことを願っていますが、コロナがなくなるのには少し時間がかかるかもしれません。

在宅で陽性者を支える準備すすむ
今後は病院・法人内で感染対策の経験をもとに、外来での抗体カクテル療法、在宅で陽性者をどう支えるか準備をすすめています。保健所とも顔が見える連携を取っていけたらと考えます。また日常の診療、看護を振り返る時期だと思っています。
コロナ禍となりもうすぐ2年ですが、今も不安で日常生活を送るのが難しい方々と出会います。感染対策は続き、生活への不安を抱える方もいると思います。その中でも、大切な方たちとの交流、自身がリラックスする時間をぜひ作っていただき、皆さんの心と体が健康でいられたらと願っています。

(王子生協病院外来在宅医療部師長・廣川和恵)



PCR検査の準備をする看護師



特別診察室で有症状者を診察