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大腸がん予防のために 「食物繊維」をしっかり食べる

2017/01/25 東京ほくと

王子生協病院 栄養課課長
管理栄養士 宮城 桃子


 突然ですが、皆さんは毎日快便ですか?健康管理は「快食快便から」と言われています。しっかり食べてきちんと出す、これが健康管理のキーワードの1つです。食事量をしっかり摂り、便のかさを増すことが快便の第一条件だからです。でも「しっかり食べて」と言われても、なんでも自由に(塩辛い・脂っこい等)食べて良いわけではありません。大腸がん予防のために、しっかり食べていきたいもの、それは「食物繊維」です。

欠かせない栄養素

 野菜や果物など植物に多く含まれる食物繊維は、食べても消化されずに便として排出されるため、長年、栄養素としては扱われませんでした。しかし、様々な研究により、善玉菌を増やして腸内環境を整える等、便通を良くする効果も解明され、最近では炭水化物・たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラルに続く「第6の栄養素」として、特に大腸がん予防の食生活にとって欠かせない栄養素となりました。
 厚労省の「日本人の食事摂取基準2015年版」によると、食物繊維の1日目標摂取量は男性19g以上、女性17g以上です。例をあげるとレタス1玉に食物繊維5g程度ですから、例えばレタスのみで目標量を目指すと3玉以上食べなければいけない計算になります。そう考えると一見大変そうに思える食物繊維の摂り方ですが、食べ方のポイントをおさえることで効果が高まります。

毎食の献立に工夫を

 食物繊維は、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分類され、それぞれ身体への働きかけが異なります。水溶性は善玉菌を増やし、腸内環境を整えてます。不溶性は腸内の水分を吸収し十数倍に膨らみ、大腸の蠕動(ぜんどう)運動が促され排便をスムーズにします。膨らむことで満腹感を得やすいのも利点です。そのため、食べ方のポイントは、ずばり「水溶性と不溶性を一緒に摂ること」です。1番のオススメは、毎食の献立に「野菜・海藻類・きのこ類・豆類」を1種類ずつ組み入れる食べ方です。
 便チェック月間にあわせて、「食物繊維強化月間」はいかがでしょうか?

★食品別 豆知識★

野菜…ごぼう・たけのこ等が有名ですが、他の野菜も優劣つけがたし。
果物…ドライフルーツにも豊富ですが糖質も豊富なので食べすぎ注意。
芋類…サツマイモは糖質も豊富なので量に注意。こんにゃくも繊維豊富。
きのこ…過熱で出てくる「ぬるぬる」が水溶性食物繊維です。汁ごと食べましょう。
海藻…水溶性食物繊維の宝庫。サラダや味噌汁など食感のアクセントにも。