誰もが安心して住み続けられるまちづくり

王子生協病院 小児科から

2020/02/19 東京ほくと

新生活で起こる体調不良 親が子どもにできること

もうすぐ入園、入学の季節ですね。入園の場合は、まだ小さいわが子が自分のもとから離れて集団生活に入るわけですから、楽しみな反面、不安に感じることもあると思います。
 保育園、幼稚園での新生活が始まると、保護者の心配ごとのひとつに「感染症」があるでしょう。子どもが熱を出して園にお迎えに行く、ということがたびたびあるかもしれません。
 入園しはじめに特に多いのは、風邪症候群です。今まで熱を出さなかった子どもが、園に通い始めた途端に「熱を繰り返す」「鼻水や咳が止まらない」という症状で受診することが多くあります。特に2歳未満の乳幼児が初めて集団生活に入ってからしばらくの間は、発熱を繰り返すことがよくありますが、感染症を繰り返していくうちにだんだんと免疫力をつけて病気をもらう頻度も減ってきます。しだいに休園するのはインフルエンザなどの流行時期に限られるようになります。
 集団生活ではやる感染症は、咳やくしゃみなどを介したり、皮膚や粘膜に接触してうつる病気です。日頃の予防対策として、帰ってきたら、まず手洗い、うがいをしましょう。また、登園前に熱はないか、機嫌が良いか、食欲はあるか、発疹が出ていないかなどチェックすると良いでしょう。受診する際は、園や学校で流行している感染症がないか事前に確認しておくと診断の参考になります。
 まだ集団生活に慣れないうちは疲れがたまりやすいので、体調がすぐれない時は無理をせずしっかり休息をとることも大切です。登園できるまでの間、どうしても仕事の都合で家族が休めない時に備えて、病児保育や病児対応のベビーシッター登録などの準備をしておくのも1つの手段として良いかもしれません。
  集団生活でうつる感染症の中にはワクチンで防げるものもあります。予防接種にはMRワクチンなどの定期接種以外にも、インフルエンザ、おたくふかぜワクチンなどお金がかかる任意接種があります。任意接種で防げる病気は、必ずしも重症化しない病気とは限りませんので、積極的に受けておきましょう。
 また、給食が始まると、食後の全身じんましんなどで緊急受診するケースもときどき見られます。当科では食物アレルギーの診療として、血液検査以外にも必要があれば食物経口負荷試験を行い、適切な診断、食事指導を行っています。集団生活が始まってからの体調不良時はもちろんですが、入園前に食物アレルギーなどで心配なことがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

王子生協病院 小児科医 平山 美香