誰もが安心して住み続けられるまちづくり

理事会だより 日本崩壊の道からの立て直しは国民の責務

2016/07/06 東京ほくと

理事会だより

理事長あいさつ 大山美宏

 王子生協病院で、無料低額診療制度(以下無低)によって入院を継続してリハビリが行えている事例を紹介します。
 脳梗塞で入院の76歳の女性、夫とアパート住まいで、本人年金4万2000円、夫が10万9000円、合わせて15万1000円の収入で、家賃が5万7700円、ひと月の入院費が5万6112円。収入が年金のみで医療費支払い継続が困難なために、早期退院の希望が出されました。ケースワーカーが「無低」を紹介し申請となり管理会議で承認した事例です。生活保護基準の90%の収入であり全額無料と判断しました。回復期リハビリ病棟に移りしっかりリハビリを行い、歩けるようになっています。
 実は、このような収入の世帯はたくさんあり、申請検討すれば、ほとんどの方が無低になるのではと愕然(がくぜん)としました。生活保護費は高齢者単独で年収160万円、夫婦世帯で230万円です。しかし高齢者世帯の平均収入は月11万6000円、支出は13万2000円、そして貯蓄率は16・8%しかありません。

政治を変えるチャンス

 アベノミクスのなかで非正規雇用が増加し1800万人を超え、正規雇用が減少しています。そして非正規雇用の収入は正規の60%、年収200万円以下のワーキングプアが4人に1人となっています。
 年収300万円未満を「働く貧困」層という概念があります。

1、年収300万円は男性にとり結婚の壁

 年収300万未満で20歳代の既婚率は8・7%、30歳代は9・3%、300~400万円の収入者の既婚率は20歳代25・7%、30歳代26・5%です。「働く貧困」層が20歳代後半~30歳代後半の若年労働者で50%を占めています。
 12年度で3043万人、非正規の9割近く、正規の3割弱がそうです。これでは人口は増えません。

2、社会保険制度の存続の危機

 非正規労働者の社会保険加入率は54・7%強、厚生年金が52・0%、それ以外が事業主負担のない国民健康保険と国民年金です。
 社会保険料が減少し、より一層大企業は保険料負担が減る、そして国保滞納と年金滞納が増える。いずれも社会保険制度の土台をゆるがし根幹が崩れます。

3、老後の危機

 働く貧困層の増大は、老後の貧困リスクを増大させます。厚生年金加入者の年金額は、平均年収が300万円で、月額12万円。国民年金加入者はさらに深刻で、平均年収300万円でも月額5万7000円、将来はみんな生活保護基準以下になりますが、生保の捕捉率は18%です。
 以上のように90年代からの新自由主義、さらにアベノミクスのなかで雇用の破壊と低賃金が現在進行形ですすんでいます。このような社会では内需の拡大さえ望みえない、国民経済的にみても、まさに「貧困クライシス(危機)」と呼ぶにふさわしい状況に追い込まれています。アベノミクスとは絶縁して新自由主義の40年間とはおさらばするチャンスが、今度の参議院選挙です。アベノミクス、この道は日本崩壊へすすんでいるといえます。まさに日本の政治を変えることが国民に求められています。