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病気の話 サルコペニアとその予防について

2017/03/01 東京ほくと

王子生協病院 リハビリ課
言語聴覚士藤田 睦(むつみ)

 「サルコペニア」という言葉を耳にしたことはありますか?まだまだ認知度は低く聞いたことがない方も多いと思います。サルコペニアとは、加齢や疾患によって筋肉が落ち、運動機能や身体機能が低下することをさし、高齢化社会が進む中で健康長寿の妨げになる危険性が高いものとして近年注目されています。
 さらに、サルコペニアが進行すると、要介護状態に繋がる可能性が高くなります。サルコペニアの予防・改善するために特に重要とされているのが「栄養」と「運動」です。

たんぱく質を多くとり、口腔ケアも念入りに

 まずは、「栄養」からみていきましょう。食事面で特に重要な栄養素はたんぱく質です。たんぱく質は肉や魚、大豆製品、乳製品に多く含まれています。たくさん食べることが難しいときは、ご飯よりもおかず、特にお肉を積極的に食べることをお勧めします。
 さらに、しっかり食べるためにはお口(くち)づくりも大切です。加齢による筋力の低下は手足だけでなく口腔や喉にも起こります。最近ムセやすくなった、食事に時間がかかるようになった等、食事場面に変化があれば飲み込みやすい食材や調理法の工夫、口腔体操などを併用してしっかり食べるお口(くち)づくりを目指しましょう。

日中は動く生活リズムを

 二つ目は「運動」です。まずはご自身のからだの状態を知りましょう。その上で、ご自身に合った運動を行うことが大切です。お家でできるものとしては、ストレッチや筋肉トレーニング、足踏み運動などです。また、ウォーキングもとても良い運動になります。
 3食しっかり食べて、日中は少しでも動くように心がけ、夜はしっかりと寝るという生活リズムを整えましょう。また、ペットの散歩や買い物、カラオケや囲碁などの趣味活動も介護予防には有効です。心身ともに良い状態を保ち健康の維持、増進を目指して取り組んでいきましょう。