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8月から介護費用負担増 制度が使えなくなる事例も

2021/11/03 東京ほくと
今年8月「補足給付の見直し」があり、施設系サービス利用者の自己負担額に大きな影響を及ぼします。
2000年4月施行された介護保険制度は、3年毎の「改正」と介護報酬改定がなされ、事業者は変更点を利用者へ説明し、サービス提供します。繰り返される「改正」は、「利用しづらく、変更のたびに利用者の自己負担は増える改悪」だと思います。その一つが、「補足給付の見直し」です。
補足給付とは、特別養護老人ホーム(以下、特養)や介護老人保健施設、ショートステイなど施設系サービス利用時にかかる食費や居住費に関する負担軽減制度です。この区分は8段階に分かれ、第1~3段階までが補足給付の対象です。
この第3段階を8月よりさらに二つに分け、第3段階②の方は自己負担が大幅増額されます(図1・図2)。特養や老健入所の場合、月額2万2千円・年額26万4千円、ショートステイ利用の場合、日額650円も負担が増えます。
また、8段階に区分する資産要件(預貯金額や不動産等)も厳しくなりました(図3)。老後のためにと蓄えた預貯金などの残高により区分され、費用負担が増えるとは皆さん想像されないでしょう。
東京民医連加盟の特養では、第2段階9人のうち1人は第3段階②へ、第3段階40人のうち16人は①、23人は②、2人は第4段階への変更通知が届きました。利用者家族へ説明すると、「自宅で介護できず、特養にお願いした。月々の費用が増えては、支払いが難しい。費用面で入所継続できないなんて、どうしたらいいのか」と涙されたそうです。8月の利用料の請求は9月下旬。届いた利用料のお知らせに驚く方は多いでしょう。
今年4月から第8回「改正」された介護保険制度をもとに運営されると同時に、2024年の第9回「改正」に向けて議論が開始されています。要介護1・2を含め、介護予防・日常生活支援事業へ移行、ケアマネジャーの立案するケアプランの有料化など、様々な改悪が予測されます。
「制度持続のため」、利用しづらく利用者へ負担増を強いる改悪をストップさせるためにも、介護保険制度の抜本的転換を求める請願署名へご協力下さい。利用者とご家族の声を代弁し、本当の意味の「改正」を強く求めます。

(福祉事業部長・西村祐子)